FAMシネマテーク
vol.5
12月26日(土)
福岡市美術館・ミュージアムホール
1作品 1,500円(当日券のみ/税込)
日本で類例の無い映画制作集団「空族(くぞく)」。
2016年の『バンコクナイツ』でその名を一躍世界に知らしめた映像制作集団「空族」。同作は第69回仏ロカルノ国際映画祭・インターナショナルコンペティション部門で若手審査員賞を受賞。その後フランス国内で拡大公開されるなど、日本のインディペンデント映画界において異例尽くしの話題作となりました。
常識にとらわれない、毎回長期間に及ぶ独特の映画制作スタイル。作品ごとに合わせた配給、宣伝も自ら行ない、作品はすべて未ソフト化という独自路線をひた走る。テーマは日本に留まらず、広くアジアを見据えています。
そんな彼らの最新作『典座』は、2019年仏・カンヌ国際映画祭の「批評家週間」特別招待作品となり、その後フランスの一般劇場でも公開されて大きな話題を呼んだ作品。道元禅師の遺した「典座教訓」を軸に、3・11後の現代日本における仏教の意義、そして信仰とは何かをドキュメンタリーとフィクションを交えて探求した作品。一年を締めくくるにふさわしい作品です。
また、今回は関連作品として富田克也監督の処女作『雲の上』を特別上映します。
この映画は、2011年の東日本大震災とその後の福島の惨事を背景にし、人間、自然、そして社会のつながりについて描いています。加えて、日本の僧侶たちが社会に貢献する様も同時に映し出されています。私は、仏教の僧侶や尼僧たちが、宗教的な探求のみならず社会的な活動により関わることを、常に支持してきました。
宗教とは『人々の幸福のための奉仕である』というこの映画のメッセージが、世の中により広く知られることを願っています。
カンヌで最も慎み深く、最も美しい作品
青山俊董の語るところでは、降りかかる問題と欲望の両方と戦うことが、正直で嘘のない、希望に満ちた人生を送るための基本だという。これこそが、想像を絶する災害と蔓延する不安に揺らぐ今の日本にこの映画があたえる解答、ないしは祈りであるだろう。この映画はそれを、人を困惑させるのと同じように人を考えさせる形式で伝えているのである。
©KUZOKU
10年前に本山での修行期間を終えた兄弟子の倉島隆行と弟弟子の河口智賢は、それぞれ自らの生まれた寺へと戻っていった。弟弟子の智賢は富士山の裾野に広がる山梨県都留市の耕雲院で住職である父、母と妻、そして重度の食物アレルギーを抱えている3歳の息子と暮らしている。全国曹洞宗青年会副会長としての顔も持つ智賢は、いのちの電話相談、精進料理教室、ヨガ坐禅など、さまざまな活動を意欲的に展開している。一方、兄弟子である隆行は福島県沿岸部にあったかつての寺、そして家族も檀家もすべてが津波によって流されてしまった。現在は1人で仮設住宅に住み、瓦礫撤去の作業員として働きながら、本堂の再建を諦めきれずにいたが……。
©KUZOKU
刑務所から出所したチケンが久しぶりに故郷に帰ってきた。自分のいない内に、少しずつ何か変わり始めている気配をチケンは感じ取る。老婆たちのうわさ話や、団地、仲間たち……。「紅雲院」は屋根の改修工事をしている。「紅雲院」には蛇たちが滝壺に集まって天に向かって遡り屋根で体を赤く染めて龍になるという言い伝えがあった。その赤かった屋根の色が変わっていたのだった。
チケンは「紅雲院」という寺の跡取り息子だ。刑務所に入ってからチケンは、以前は嫌っていた坊主になるために修行に出ようと決意していた。一方、幼馴染みのシラスはやくざになったと仲間から知らされる。
1 | 11:00~12:00 | 典座 |
---|---|---|
2 | 13:00~14:55 | 雲の上 |
3 | 16:00~17:00 | 典座 |
4 | 18:00~19:00 | 典座 |
19:15~20:00 | 富田監督オンライン登壇(予定) |
※開場は各回30分前より
(本編上映前に予告編上映あり)
「FAMシネマテーク」は福岡市美術館・ミュージアムホールを会場に、これからも貴重なプログラムを提供してまいります。